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南米:パタゴニア・トレッキング  記 越山

日程 2011.2.12.~3.4
メンバー 越山 将男、石井 日出男
詳 細

2月5日にアコンカグアに登頂したあと、メンドーサ経由でブエノスアイレスに戻り、以前から行きたいと思っていたパタゴニアを訪れた。2月14日にブエノスアイレスから国内線航空でアルゼンチン最南端の町・フェゴ島のウシュアイアに移動。ビーグル海峡でアシカやペンギンなどを見たりしてから、国際バスに乗りマゼラン海峡をフェリーで渡ってチリ領に入った。
プンタ・アレナスという海辺の町に1泊。シーフード料理が美味いこの町からは南極行きのツアーも出ている。翌日、チリ・パタゴニア:パイネ山群トレッキングの拠点となるプエルト・ナタレスへバスで移動した。

(1)チリ・パタゴニア:パイネ山群トレッキング
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   当初は「パイネ・トーレス」と「パイネ・グランデ」の2つのルートを歩こうと思っていた。しかし、現地での足の問題を考えると日程的にやや無理があることが分かった。そこで「パイネ1日ツアー」に参加して観光したあと帰路にツアーを離脱し、パイネ山麓の山小屋に1泊しながら行動することにした。
 
<第1日目:パイネ1日ツアー~パイネ・グランデ小屋>
   2月18日。パイネ山群でトレッキングをするためプエルト・ナタレスをツアーバスで出発。町から20分程の所にあるミロドン洞窟に立ち寄ったあと、幾つかの湖を見ながら国立公園に向かった。途中の草原にはグアナコというアルパカに似た野性動物がおり、雲間にパイネ・トーレスの岩峰が見えた。
   この日は朝から雲が多かったが、午後になると晴れて来て独特の形をしたパイネ山群の岩峰群が見えてきた。
しかしながら、パタゴニア特有の強い風が吹き荒れていて、「サルト・グランデ」という滝を見物した時には、強風に煽られて足がフラ付く程で、とうとうサングラスを飛ばされてしまった。
   ツアーの帰路、コバルトブルーに輝くぺオエ湖畔にあるプデト桟橋でバスを下ろして貰い、クルーズ船でパイネ・グランデへ渡った。強風をまともに受けた船は恐ろしいほど揺れた。
予約しておいた「レフーヒオ・パイネ・グランデ」はぺオエ湖畔に建つ大きな山小屋で、当日はほぼ満室だった。小屋の周辺はよく整備されたキャンプ場になっており、背後にパイネ・グランデ前衛の岩山が聳えていた。

<第2日目:パイネ山群・フランセス谷・トレッキング>
   朝食を済ませたあとフランセス谷へのトレッキングに出発。正面に「クエルノス・デル・パイネ」(別名・パイネの角)を見ながら歩いてゆくと、静かな湖面に山の姿が映って綺麗だった。
   吊り橋を渡り、約2時間でイタリアーノ・キャンプに着く。左手には氷河をいただいた「パイネ・グランデ(3050m)」が凄い迫力で聳え立っていた。
   岩尾根を登り切るとフランセス谷の奥にある山々が眼前に広がった。樹林帯の中にブリタニコ・キャンプがあり、そこから岩場を約20分ほど登ると展望台ピークに着いた。
   一番左手にすっかり姿を変えたパイネ・グランデを見て、その右手からセロ・カセドラル(2168m)、セロ・ビアンコ(2197m)、更にはパイネ・トーレスの岩塔群やクエルノス・デル・パイネ(2600m)などの山々が連なる大パノラマが見えた。
   翌日は、午前中スケッチをしたり、近くの丘を散策したあと13時半発のクルーズ船に乗った。桟橋に行くと既に50人ばかり並んでおり、次第に100人近い乗客の列になった。小さな船なので全員が乗れるとはとても思えなかったが、結局、何とか全員を押し込んで出発。行きと違って風もなく、穏やかな湖面に映るパイネ山群を見ながらプデトの桟橋に着き、バスでプエルト・ナタレスに戻った。

<参考タイム> 2月19日(晴れ)
パイネ・グランデ小屋7:50~イタリアーノ・キャンプ9:50-10:10~ブリタニコ・キャンプ12:35~展望台ピーク12:55-13:30~イタリアーノ・キャンプ14:20-30~山小屋17:35

(2)アルゼンチン・パタゴニア:フィッツロイ山群トレッキング
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  パイネ山群のトレッキングを楽しんだあと、チリのプエルト・ナタレスから、バスで国境を越えてアルゼンチンに再入国し、エル・カラファテを訪れた。この町はぺリト・モレノ氷河などがある「ロス・グラシアス国立公園」の観光拠点となっており、フィッツロイ山群でトレッキングをするためには、バスで約3時間離れたエル・チャルテンという町に行く必要がある。

<第1日目:チャルテン~ラス・アギイラスまでのショートトレッキング>
   2月22日。バスでエル・カラファテ~フィッツロイ山麓のエル・チャルテンへ向かった。まず町の入口にある公園管理事務所に立ち寄った。事務所内の壁にはフィッツロイの登攀ルート図が貼られていて、トレッキングMAPも無料でくれた。
晴れていれば町からフィッツロイ山群が見えるはずだが、この日は生憎曇に隠れていた。ホテルにチェックインしたあと、公園管理事務所の裏手にあるロス・コンドレスに登った。眼下に町を見下ろす頂上からは、フィッツロイ山が雲間に少し姿を見せた。この日は更に奥にある「ラス・アギイラス」という湖を見下ろす岩山まで足をのばして下山した。

<第2日目:フィッツロイ山トレッキング>
   翌23日。フィッツロイ山の直下にあるロス・トレス湖までトレッキングをした。朝のうちは雲が多かったが、途中にあるカプリ湖を過ぎて正面に氷河が見える頃から、徐々に晴れ間が広がってフィッツロイの岩峰群が見え始めた。
   沢山の池塘が点在する湿原を過ぎて暫らくするとポインスノット・キャンプに着いた。更に10分ほど歩くと登攀者専用のリオ・ブランコ・キャンプがあり、そこから先でロス・トレス湖に向かう岩場の急登になった。
   上空には厚い雲が掛っていたが、時々日差し出るとかなり暑かった。約1時間でロス・トレス湖(1170m)に到着。雲の動きが激しくフィッツロイの岩峰群はガスに見えたり隠れたりしていた。中でも眼前に聳え立つ主峰フィッツロイ(3405m)の大岩壁はさすがに迫力があり、もし若き日にここに立っていたならば、大いに登攀意欲をかき立てられたであろうと思った。
   チリのパイネ山群でも好天気に恵まれたが、もともとパタゴニアは天候が不安定なことが多く、フィッツロイの山頂がクリアに見える日は少ないらしく、どうやら今日の我々も実に幸運だったようだ。

<参考タイム> 2月23日 晴れ時々くもり
エル・チャルテン7:40~カプリ湖9:00~ポインスノット10:10~リオ・ブランコ10:20-35~ロス・トレス湖11:25-12:00~ミラドール・フィッツロイ10:20-30~エル・チャルテン15:30

<第3日目:ミラドール・トーレ往復>
   エル・カラファテに戻る日であったが、バスの出発時間が13:00だったので、午前中にトーレ湖へ行く途中にある「ミラドール・トーレ」という展望台まで往復することにした。
   この日の朝方も曇っていたがそのうち快晴となり、左手の奥に雪を被ったグランデ山(2750m)が見え始めた。更に進むと昨日すぐ真下まで行ったフィッツロイ山が右手に望めるようになり、正面には鋭く尖ったトーレ山(3102m)が聳え立っていた。「ミラドール・トーレ」に40分程いて素晴らしい展望を楽しんだあと、帰路は湖がある北廻りルートを通ってエル・チャルテンのホテルに戻った。
   午後に再びカラファテに戻ったあと、翌日「ぺリト・モレノ氷河」を訪れた。この大氷河は全長が約35km、先端部の横幅が約5kmもある。日に1~2m近くも移動していると言われ、時折氷河の先端が轟音をあげて崩壊する光景を目の当たりにすることが出来た。
   旅の最後にパタゴニアからブエノスアイレス経由で空路イグアスへ飛んだ。豪快に流れ落ちる「悪魔の喉笛」をはじめとする壮大なイグアス滝を見物したあと、3月4日に帰国。今回の1ヶ月半にわたる山と旅を終わった。





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