ボルネオ島・キナバル山
東南アジアの最高峰・キナバル山は、山頂部に幾つもの奇怪な形をした岩のピークがあり、その最高地点がロウズ・ピーク峰(4095m)である。2004年12月。私は北から南に縦断するベトナム旅行の帰路に、東マレーシア・ボルネオ島に立ち寄りキナバル山に登った。この時期は雨季の真っ只中ではあったが、運良く天候にも恵まれて山頂から御来光を仰ぐことが出来た。
12月1日。コタキナバルからバスで登山基地のあるキナバル・パークに移動し、公園管理事務所で宿泊と登山手続きを済ませた。その日の内に上部の山小屋まで行くことは十分可能だが、この日は熱帯ジャングルの自然探索トレッキングをして公園本部のホテルに1泊したあと、翌朝から登り始めることにした。
12月2日。管理事務所で入山料(約2800円)とガイド料(約2000円)を支払うとガイドを紹介される。特に案内人など必要ないのだが、登山にあたってはガイド雇用を義務付けられているのでやむを得ない。
午前7時40分に登山口を出発。暫らくは薄暗いジャングル帯を進むが、随所に階段が作られ登山道はよく整備されていた。道はずっと樹林帯の中に続いており、30〜40分間隔でシェルターと呼ばれる屋根付きの休憩所が作られている。時折、小さな岩場が出て来るが特に問題はなく、何しろ湿度が高くて蒸暑いのには参った。
キナバル登山口の公園管理事務所。
ここで入山手続きをする。
途中、2600m地点にラヤン・ラヤン小屋があり、その地点で別の登山口である「タンバン・ゲート」からの道と合流する。登山口から4時間20分。12時丁度に今日の宿泊地であるラバン・ラタ小屋(3300m)に着いたが、辺り一面は濃い霧に覆われて何も見えず、小屋に入って休んでいると雨が降り出した。2時間程で雨が止んだので上部に向かって登って行くと、その内みるみる霧が晴れ始め、奇怪な形をした上部岩壁が姿を現わした。2段ベッドの4人部屋でイギリス人達と同室だったが、夜間はヒーターが効き過ぎて寝苦しかった。
12月3日。頂上で御来光を見るため、朝2時に起床。コーヒーとビスケットで簡単な朝食を済ませてから午前3時に小屋を出た。辺りはまだ真っ暗だったが、我がガイドは懐中電灯すら持っていない。暫らくすると岩場が出て来る。しかし、ロープがベタに張ってあるので月明かりだけでも十分に登れた。花崗岩はフリクションが良く効いて実に登り易く、ロープを使う必要もなく快適に高度を稼いで行く。「ロッククライミング」というよりは、正に「ロックウオーキング」という感じだった。
溶岩の岩盤の上を歩き続けること2時間10分で、まだ真っ暗なロウズ・ピーク(4095m)の頂上に着いた。岩陰で日の出を待つことにするがかなり寒い。この日は結局、山頂から太陽が昇る姿こそ見えなかったものの、雲海が朝日を浴びて刻々と赤く染まりゆく光景は、いつもながらに実に感動的だった。
ガスが晴れ、ラバン・ラタ小屋
から上部岩壁が見える。
ラバン・ラタ小屋の上部から見た
特異な形をした上部の岩山。
山頂から、下に見えるサウス・ピークを
経由して下山。