2006/10/22

西上州 烏帽子岳〜天狗岩

メンバー:会員3(男性1、女性2)


  「コースは明瞭だし、登り降りも少ないから大丈夫。
つつじの紅葉を泳ぐように歩く凄く面白いコースだから」との言葉に誘われて、紅葉もさぞや見ごろと思われる秋の一日、行ってきました烏帽子岳〜天狗岩。日本昔話風のネーミングも、チャーミングではありませんか。

  朝7時半に八王子で待ち合わせ、I氏の車で一路、西上州へ。3時間ほどで烏帽子岳の登山口となる大仁田ダム入り口に到着した頃は、「日本全国晴れ」の潔い天気予報に反して一面のガス。自分、アルムに入会して、これが5度目の山行体験となりますが、いつも山はガスってます。山はガス。これ今やマイ定説となりつつあり、

  山への入り口は、豊かな日本の自然森。木々の向こうからひょいとクマが顔を出しそうな雰囲気に、Kさん思わずクマよけの鈴をリュックにつけます。しかし落葉樹の葉っぱが造りだすふかふかの腐葉土が、音という音を吸収してしまうのか、歩くたびに揺れるその鈴は、ちり、ちりと頼りなく、そのひそやかさが、いっそう森の静けさを際立たせるのでした。

  さて、烏帽子岳までのコースですが、地図上では点線になっているというだけあって地上でもほとんど消滅状態、のように見えます、わたしには。イーグル・アイI氏のファイティング、じゃなかった。ファインディング・コース技で点と点を結びながらの登攀です。あわやロスト・コースのスリルもほどほどに味わいながら、迷ったら戻れの原点なども同時に叩き込まれながら、一歩また一歩、アルピニストへと脱皮するわたしです…だったらいいな。

  あるときはくるぶしまでの腐葉土を踏みしめ、あるときは何の手がかりもない急傾斜の土砂地をずるずるすべり落ちながら、またあるときは背丈以上もある岩をよじ登り、アレしてコレしてやっとこさたどりついた稜線は、たしかに『紅葉を泳いで歩く凄く面白いコース』。腰から肩あたりまでの高さに密生するドウダンツツジの枝を、両手で払い払い、ゆっくり前進します。そう。お山を一斉に赤く染め上げているのはドウダンツツジなんです。公園の植え込みには欠かせないアレです。稜線から望む烏帽子岳、天狗岩、マルの山並みが、まるで誰かが作りこんだ日本庭園のように見えるわけは、その植生にありそうです。

  烏帽子岳から天狗岩までの行程は、ガスの合間に垣間見える山裾の景色にいちいち歓声を上げながら、ハイホーハイホー順調に。生きとし生けるものたちを包み込む山ふところで、コナラ、シラカンバ、トチ、ホオ、クリ、もっともっと、ありとあらゆる種類の落ち葉を踏みしめながら、命の母、ニッポンの山をこころゆくまで堪能しました。

  行楽地は人で埋まるこのシーズンに、最初から最後まで、結局誰にも出会わずじまいという究極の『とっておき』的穴場、烏帽子岳〜天狗岩。ツツジが白い花をつける頃に、もう一度訪れてみたい場所でした。
大仁田ダム10:30−マル12:00−烏帽子岳12:20〜40−天狗岩13:30−
烏帽子岳鞍部14:50−大仁田ダム15:30

コースタイム: