2007/7/27-8

大雲取谷の夜

メンバー:会員3(男性2、女性1)


【コースタイム】
    7/7 冨田新道入り口12:30−魚止めの滝12:40−13:40−大雲取谷出会い14:00
        −第二崩壊地(堰き止め湖)14:45−権衛谷出会い―幕営地15:40
    7/8 幕営地8:30−6m二条の滝9:15−小雲取谷出会い10:10−S字峡10:30
        −8m二条の滝11:17六間谷出合い12:00ー大タワ林道−日原川林道14:00

【報告】
 大雲取谷は東京都の末端の原生林の中を流れる、碧の苔が美しい谷だった。
6.5KMもダートの日原川林道を車で入って冨田新道を下って長沢谷へつり橋手前から入渓する。水量的には前回の小渕沢が多かったので大したこと無い様に見えるが今日は薄暗く寒いので水にはなるべく入りたく無い気分。今回は途中泊で焚き火を楽む予定なので雨が降らないことを祈りつつ前進。すぐに深い釜を持つ魚止めの滝に出会う。巻くしかない。左岸の落ち葉の積もるルンゼから恐ろしく高巻くが足場が無いので殆ど木登り。早速ながらこの沢を舐めていて7mmロープしか持って来なかったことを悔いる。後続を何とか引っ張りあげて河原へ懸垂下降する。結局この高巻きに一時間程掛けてしまった。
 大雲取谷の出合いを過ぎると右岸が崩落地となっておりしばらく進むと第二崩落地。こちらの崩落はすさまじく谷全体が伏流となっていた。巨木・巨石のゴーロをこなすと目の前に崩落で出来た堰き止め湖が出現した。男二人がたじろぐ中、MN女子は果敢に泳きに挑戦。その心意気天晴れである。(しかしこの後パッキングに付いての反省会が開かれることに)
ここまでは平凡な渓相であるが岩菅谷を過ぎる頃から小滝が出てきて面白くなる。小滝・小淵をクリアして行く。寒くなってきたのでBPを見付けてテントを張る。“おじいさんは山に芝刈りにおばあさんは川へ魚釣りに”といった感じでそれぞれ仕事に就く。しかし集まった蒔きは殆ど湿っているし、気のいい岩魚さんはいなかった。試行錯誤してどうにか火を起こし、暖を取る。濡れた服もたちまち乾き、お酒も会話も進む。(火越しの最中は真剣な顔付だったので話し掛け難そうな雰囲気だったそうだ。)漆黒の闇の中、揺らめく火を見つめていると原始の記憶を呼び覚まされる様な感覚を覚えて面白い。お好み焼きとカレーライスと各種つまみで飲み進み11:00就寝。沢の音と鹿の鳴き声だけが響いていた。(そうそう、MN女子のザックの中身はずぶ寝れでシュラフは使えませんでした。:一応反省点として書いておきます)
 よく朝も涼しいというか寒い。しかし今日下山ということで大胆に行くことにする。6m幅広の滝の中央突破は難関だった。釜に入って下段に取り付くが上段は足場が無い。何度か試行するが本格的にトライすることに躊躇する。このままだと容赦なく降り注ぐ水流に体温を奪われる。淵に飛び込んで戻ることも考えたが勇気を振り絞って上体だけで上がり力尽きる前に膝を着いて全体をズリ上げる。行程中一番痺れたクライミングだった。後続を引っ張りあげるがやっぱり7mmでは苦労する。
小雲取谷を過ぎてS字峡はそれほど難しくはなくヘツリと全身の突っ張りで登って楽しかった。最後の8m二条は左を登れば階段状で見掛け倒し。その後はまたやや平凡な渓相となりちょっと飽きかけたところで六間谷との出合い。
この後はさらに遡行価値がないとのことなのでここで終了。10分程で大タワ林道に詰めあげて車まで戻る。あの怖かった滝以外はまったりと雰囲気を感じながら遡行する沢ですね。

 沢登りの楽しさは次々に現れる事態に知恵を絞って対応するパズルを解くようなものだと思います。危険な要素は他の山行より高いことは認識しつつ、この芳醇な自然の中でのゲームを今後もいろんな仲間と堪能できたらと思います。

反省
   ・ロープは必ず8mm以上を用意。
   ・焚き火には着火材と火種を用意(今回は地図とまな板代わりの牛乳パック*2を燃やしてしまった)

雲取.6m二段の滝 雲取.S字峡
雲取.泳ぐ 雲取.最後の大滝
雲取.大崩壊地 雲取.焚き火