山行報告番外編
(第4信)

今、ヨルダンの首都・アンマンに来ております。朝からタクシーで死海に行き昼過ぎに町に戻ってきましたが、他の旅行者に教えてもらった、温泉が流れ込む穴場の海岸があり、−360Mの死海で泳ぐというよりも「浮遊」して来ました。

エジプトには約1ヶ月間滞在しましたが、最後にシナイ半島の聖カトリーナから旧約聖書にも登場するシナイ山(2285M)に登りました。満月の月明かりのもと、岩山を登ること2時間半で頂上に着き、太陽が昇るのを2時間ほど待ちました。ユダヤ教徒たちが祈りを捧げる中、東の空を真っ赤に染める、実に荘厳な素晴らしい日の出でした。

その後、4日前の5月14日にエジプトのヌエバから出ているフェリーで、ヨルダンのアカバに入りました。乗船している時間は3時間足らずなのですが、ヨルダンに出稼ぎに行くエジプト人が沢山いて、出入国に時間が手間取り(全員が手続きを終わるまで出航せず)、約7時間掛かりの国境越え?になってしまいました。

翌日、アカバからぺトラ遺跡のあるワディ・ムーサに移動し、2日間かけて世界遺産をじっくりと見学しました。エジプトで見てきた神殿などとは全く趣の異なる古代ローマの大きな遺跡でした。本やTVで見覚えのある、岩をくり抜いて造られた多くの建物が残っており、「エル・ハズネ」という宝物殿や、「エド・ディル」という修道院などには、さすがに圧倒されました。

このあと、エルサレムを3日間ほど訪れようと思っています。イスラエルに行ったことが分かってしまうと、この先、シリア、レバノンに入国できなくなってしまう可能性があり、若干の心配はありますが、せっかくの機会なのでエルサレムにだけは是非とも行きたいと考えております。


マ・アッサラーマ

2006.5.18. アンマンにて


(第3信)

今、ルクソールに滞在しています。昼過ぎに「王家の谷」などを訪れて町に戻り、先程、床屋で散髪と髭剃り(20ポンド;400円、言い値通りだったのでかなり高かった?)をして来ましたが、今日は午前中でも36℃を超える暑さです。最も印象に残ったのは、何といっても「ツタンカーメン王」の墓でした。以前に来た時には未公開で中には入れませんでした。他の王たちの墓に比べると規模こそ小さいのですが、最奥の玄室には王のミイラが安置されており、見事な壁画が色鮮やかに残っていました。そこにエジプト博物館で見た、あれほど沢山の副葬品が置かれていたとはとても信じられません。

前回、第2信をメールしたあと、4月30日にカイロから夜行寝台でアスワンに移動し、アブシンベルなどを訪れました。ここも前回には行けなかった所ですが、ラムセス2世の石像はさすがに巨大で、よくぞこれだけのものを別の場所から移設できたものだと感心させられました。

その後、5月4日からナイル川クルーズでルクソールにやって来ました。というのも、アスワンの旅行代理店と交渉した結果、クルーズ(2泊3日・3食付の5星船)とルクソール観光(2泊の3星ホテル)で110ドル(クルーズだけだと85ドル)という破格の値段で決まったからです。いかにオフシーズンとはいえ、通常の2〜3分の1ぐらいの価格です。乗客は定員の約半分ぐらいでしたが、料理は日頃とは格段の差だったのは勿論です。屋上のデッキでそよ風に当たりながら、真っ赤に染まるナイルの夕日を眺めるのは最高の気分でした。たまにはこのような旅も悪くありません。

このあと、バスでハルガダに移動し、フェリーで紅海を渡ってからシナイ山に登ったりした後、先日テロ事件のあったタハブを経由してヨルダンに行く予定です。

ではいずれ又。    

マ・アッサラーマ2006.5.7. ルクソールにて


(第2信)

日本を出発して11日目になりますが、まだエジプトのカイロに滞在しています。今は29日の午後5時(日本時間午後11時)で外の気温は約34度。とても観光どころではないのでインターネット・カフェに来ております。カイロには日本語OKのネットカフェが結構沢山あり、料金(1時間5ポンド;100円)は決して安くない?ですが、こうしてメールしたり内外のニュースを見たりできるので実に便利です。

ニュースといえば、こちらでは24日にシナイ半島のリゾート地・タハブという町で大きなテロ事件が発生し、多数の死傷者が出ました。ご心配をおかけしたかと思いますが、私はこうして無事でおりますので何卒ご安心ください。今回も外国人観光客を狙った反政府組織が起こしたもののようで、イラクなどのようなイスラム教徒同士の争いと違って、われわれ旅行者にとっては一番厄介なテロです。ルクソールでの事件以来、エジプト政府としても観光収入確保のために治安維持に力を注いで来た結果、この種のテロは撲滅されつつあるはずなのですが、まだ時々発生してしまう訳です。

エジプトに来てからの約10日間の私の行動ですが、1泊2日で地中海に面した町・アレキサンドリアを訪れたり、昨日までは、2泊3日で、カイロからバスでバハレイヤ・オアシスに行き、そこからサハラ砂漠で野営する現地ツアーに出掛けておりました。ベルギー人2人と3人のツアーでしたが、白砂漠という幻想的な風景を見ながらキャンプし、素晴らしい星空の下で砂漠の夜を過ごしてきました。そんな訳で、ご心配のメールを頂きながら返信できなかったことをお詫びいたします。

ギザのピラミッドを見るのは15年ぶりでしたが、今回はスケッチなどを楽しみながら、たっぷりと時間をかけて見学できました。前回の時には、事前の期待感が余りにも大き過ぎたためか、実は大した感激を覚えなかったのですが、今回、改めてじっくりと見上げると、やはり偉大な歴史的建造物であることを再認識させられました。また、別の日には、タクシーを半日チャーターして、ダフシュールやサッカラなどにあるピラミッドにも訪れました。

今回の旅は約70日の予定なので、まだ旅は始まったばかりですが、ここまでは、昨日から夏時間(+1h)に変更されたことを知らずに、バハレイヤからのバスに1台乗り遅れたこと以外には何らのトラブルもなく、お蔭様で、いたって元気に快適な旅を続けております。エジプトからヨルダンに移動するため、このあと、問題のダハブには2週間後ぐらいに行かざるをえませんが、その頃には町は平穏になっているものと思われますし、事件直後だけに、かえって安全かもしれません。

以上のご報告を以って旅の第2信とさせて頂きますが、明日からは夜行寝台列車で一気にアスワンまで移動する予定でおります。良い連休休暇をお過ごしください。

マアッサラーマ  

4月29日、カイロにて。


第1信

アッサラ―ム・アレイコム

昨19日、成田―シンガポール―ドバイ経由で無事エジプトのカイロに着きました。成田から26時間がかりのエジプト入りでしたが、シンガポール航空の正規運賃が793千円のところ、134千円という格安往復航空券の上、UA のマイレッジがフルに付くので致し方ありません。最も、直行便ですとカイロ着が深夜になるので、朝に到着する今回の便の方がかえって好都合でもあります。

エジプトは約15年前にツアーで来て以来ですが、カイロ上空からは砂漠の中に立つギザのピラミッドと、そのすぐ近くのナイル川沿いに高層ビルが乱立する大都会・カイロが俯瞰できました。新市街のど真ん中にあるタフリールという広場に面したビルの8階にあるホテル(wルームで900円)に泊まっていますが、今朝はまだ真夜中の午前4時前に近くのモスクから流れる大きなアザーンの声で起こされました。

日中は気温が約30℃近くになりますが、朝晩は涼しいくらいの過ごし易い気候です。取り合えず昨日と今日は、ホテルの周辺を歩いたり、タクシーと地下鉄を使って市内散策などを楽しみながら、カイロの土地勘と物価感覚を養い始めました。今日は午前中にイスラーム地区に行ってみましたが、さすがに沢山の大小のモスク(こちらではガーマという)があってイスラームの国に来たという実感を彷彿とさせてくれました。


2006.4.20 エジプト・カイロにて

アルムのボナッティ

中近東放浪記