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110 槍ヶ岳北鎌尾根
日程

2010年7月17日〜19日(先行1名16日〜)

メンバー 参加者:W、U、M、I、S(記)
詳 細
◆7月16日(金)
新宿よりあずさで一人先発。1日目の体力温存のため、わがままを聞いていただいた。

◆7月17日(土) 
12:45頃、本体4名と合流。みなさん寝不足に乗越の急登でお疲れの模様。

少しの休憩の後、Wさんの号令により稜線で全員アイゼンを装着、13時頃下降開始。
ここからオーダを組み、Wさん、S、Uさん、Mさん、Iさんの順で下降開始。
雪渓上部は凍っており、緊張。上部の傾斜がきついため、右岸のザレた草付きと雪渓を行ったりきたりしながら下降。
途中雨が降り出し、きついザレた傾斜で雨具装着。
雨は振ったりやんだりを数回繰り返す。次回はフルオープンのレインパンツを買おうと誓う。
後半は雪渓を下降。大きなクレバスが1箇所気になったが、それ以外発達したクレバスはなく、いつの間にか雪渓が終了していた。

右岸側からいくつもの支沢を左岸へ、左岸へと渡っていく。右岸のほうに渡りやすそうな場所があっても、Wさんはそちらを選ばない。
なぜだろう?と思っていると、流れがだんだん大きくなり、右岸にいたら北鎌沢出合いのある左岸にたどり着けなくなることがわかった。
(というか、Wさんに教えていただいた。)
事前に見ていたネットのほとんどの山行記録にはそのような記載があまりなく(
そもそも天井沢の下降についての記録があまりアップされていない) 、直前に買ったヤマケイのビデオも貧乏沢の下降だったため、
私の中では完全にこの場所についての情報が抜けていたことがわかった。・・・リサーチ不足。

北鎌沢からは滝のように水が流れており、「これが北鎌沢だよ」とWさんに言われても、にわかには信じられないほどの水量だった。

15:30頃
明日は沢登りか?と思いながら、天井沢の中州に幕を張り、焚き火開始。濡れた枯れ木に見る見るうちに火をつけていくWさんは魔法つかいのよう。
Uっちーさんのスリングがマキ集めに大活躍!
Mろーさん、うっちーさん、いい顔してます
Iろーさん、うれしそうに飲んで食べてました。
20時。沢泊まりの醍醐味(?)タープでぐっすり就寝。

◆7月18日(日)
AM4:00
あまりの水量のため、暗い中の遡行は危険とのリーダー判断により、予定を1時間遅らせて出発。北鎌沢に取り付く。
大きな岩を渡りながら、「“じわーっとした”沢ヤの登りかた」について後ろでUっちーさんたちが話しているのを盗み聞きしながら、
“じわーっ”と岩に足を置いていく。

足元を照らすヘッドランプが必要なくなってくる頃、「さっきのが左股」というWさん。
全く気づかず。。。暗いからといって、足元ばかりを見ていてはいけません。
水は沢の中間点あたりで汲んでおいたが、この日は思った以上に上部(コル手前)まで沸いていた。

途中スノーブリッジの下をくぐり、スラブを登り、コル手前で思った以上に難しい草付きや岩登りに苦労しながらも沢登り気分を満喫し、やっとコルに到着。
ここでAM6時半。予想以上に時間をとってしまった。スミマセン。

コルでストックをしまい、はじめの一歩は天上沢側の急斜面をブッシュをつかみながらトラバース。
その後独標までの道程は印象が薄い。ザレた急斜面を這松をつかみながら登ったり、少しクライムダウンしたり。
独標が見えはじめ、その大きさに圧倒される。
天狗のコルでは休憩を取らず、そのまま駒をすすめた。

いよいよP10独標のトラバース。
取り付きまで意外に登る。ホールドもスタンスもたくさんあるので怖くはないが、ザレに足先を突っ込み、根石を見つけては慎重に進む。
ホールドは指が切れそうなものもあり指先が痛い。ここからは指無し手袋をはずし、500円の“イボイボ付きぴったり手袋”が大活躍した。
後半の有名な“ちょっとハングした岩)の下にはスタンスがあるが、私はハング直下のテラス上に左ひざ、その下のスタンスに右足を乗せて這うように進む。
まったく美しくない。ヤマケイビデオでの谷口けいさんたちはロープを出していたが、実際ホールドもしっかりしていて、ロープは不要だった。
独標ピークへのチムニー直登部分を一度過ぎ、また戻ってから直登。谷口さんと同じルート!!と少しミーハー気分。
最後のトンネル状のチムニーを超え、ピークへ。穂先が大きく迫った。

あとはひたすらクライムダウンと尾根直登が続く。ビデオでは巻いていた「白いザレたピーク(P13,14あたり?)」もほぼ直登。
「アルムは逃げない」と誰かが言っていた。(さすがにP15は疲れて逃げたかった。。。)
巻こうとするも、何度か先に道がなくなることがあり、Uっちー、Iろーの偵察隊により新しいルートが開かれる。チームワークを感じる瞬間だった。

P15を直登すると、最後は20m程度?の懸垂下降。残置スリングの1本はすでに切れそう。
しかしリーダーのセットへの安心感とこれまでの練習で不安なく下れた。
クライムダウンに比べて格段に早い。

ここですでに16時半くらい??ここから北鎌平、槍の穂先への道のりが近くて遠い。
あと2時間近くかかるだろう、というUっちーさんの言葉にへこみつつ、何が何でも登りきる気力だけで登る。
大きなゴーロを飛び渡るが、すばらしきかなガイドテニー。最高に滑らない。ものすごいグリップの安心感。
また大きな岩の間に挟まった小さな岩がほとんど浮いていないことを発見、疲れた体に鞭打って、
これまでのザレとは違う安心感のもと、歩いていく。
しかし息が切れる。。。

いよいよ槍の穂先。カニのツメを目印にゆるりと左上・・・と思いきや、ここもほぼ尾根を直登。
カニのツメから右上に・・・と思いきや、天上沢側の切り立った脆い部分を直登・・
隊長、危険です!!(汗)右に回りましょう。

“下のチムニー”に到着。ここでロープが出る。
「右、巻けますけど・・・」
「ここで巻いてどうする。」
「はい、すみません。」

マッシャーを進めながらも、「あ、谷口さんがつかんでいたホールドだ!このスタンスに乗ってた!」(疲れていてもミーハー。)
ザックを背負っているので動きづらいが、ここは特に問題なく登れた。

そして“上のチムニー”に到着。 後続パーティーがさっくり右ルートから回って頂上へ。orz

指をくわえて見ている私に、「アルムは逃げない!」後ろから誰かの声がする。
Wさんのリードの後、IろーさんがTOPで頂上に出るはずが、ビレイの都合上?Uっちーさん、私が行くことに。Iろーさん、ごめんね。
こちらは最初の数手で少し苦労。最後の気合で登りきる。

Wさんのビレイポイントを過ぎ、祠の裏に出る。喝采あるか?・・・
「はーい、撮るよ〜」
一般登山者が祠をバックに記念撮影中。誰一人ヘルメットで変なところからあがってくることに気づく人がいない。
というか、気づいてもそれが何なのか理解してもらえていない。

・・・残念!!

それでも歩きとおした感動と、参加させてもらえた感謝とで一瞬だけ目の前が滲んだ。

全員で祠を囲んで記念撮影。そこから約1時間弱。穂先から降りてそのまま殺生のテン場へ。
トイレが遠くて死にそうだった。アルムのIくんがいたが、ゆっくり話す余裕がなかった。
Mろーさんが買ってきてくれたコーラがおいしかった。ペプシだったけど。
作ったカレーは食べ切れなかった。大好きなグリーンカレーなのに。
そして全員テントで就寝。

◆7月19日(日)
槍沢の雪渓下り。上高地からタクシーで沢渡へ。
初めて行った“秘湯”ではお姉さま方が「北尾根、3時間待ちだったわよ〜」との会話。さすが知る人ぞ知る秘湯。。。
回るおすしを大量に平らげたあとは、一睡もせずに帰宅。

今回のバリエーションデビュー、皆さんのおかげ(と自分の晴れ女パワー(?)で、にとって最高の条件で無事に終えることができました。
皆様、本当にありがとうございました!!


大曲 天上沢上部

天上沢 北鎌全貌

北鎌沢出合 沢泊まり

P8下部 P10独標下

独標ピークへ ザレのクライムダウン

P15頂上 P15からの懸垂

槍の穂先・カニの爪 槍ヶ岳山頂
 
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