78_2.夏合宿別働隊 劔岳の報告
日程

2009年8月11日

メンバー

Kuni , O.U , K.Y

詳細

アルムクラブの夏合宿は、8月7日夜から16日までの実質9日間と長い。KさんもOさんも、それほど休暇が取れないという。そこで今回はアルム本隊から離れ、KさんとOさんの日程に合わせて、3名の別働隊として劔岳に入ることにした。
8月7日(金)夜から12日(水)まで。八ツ峰Y峰Cフェースとチンネ左稜線、源治郎尾根の3ルートを登攀する予定である。

8/7(金) 22:00八王子発。8日午前2時に扇沢に着いた。小糠雨が降っている。テントを濡らしたくないので、屋根のあるアルペンルート構内にテントを張って寝た。

8/8(土) 朝の5時に、あまりに周囲が騒がしいので起きてしまった。テントを開けると、そこいら中に人がいて始発バスの出発を待っている。われわれのテントは、明らかに迷惑そうなので、早々にテントを片づけてバス待ちの列に並んだ。6時30分始発バスが出発。
10時30分頃室堂に着き、雷鳥沢から劔御前めざして歩き始める。劔御前小屋手前あたりで、U代表から電話が入った。いま室堂だという。われわれより2時間ほど遅いペースだ。アルム本隊は、今日は剣沢泊だが、われわれは、明日Y峰フェースを登るつもりなので、真砂沢まで行きたい。早々に交信を終えて先を急いだ。
今年は、剣沢の雪渓がとても雪が少ない。平蔵谷を過ぎ、KさんとOさんに源治郎尾根へのトレースなどを教えながら歩いた。長治郎谷の出合で登攀用具などの装備をデポした。一挙に軽くなったザックの感触を楽しみながら、午後2時30頃真砂沢着。テントを張って乾杯をした。

8/9(日) 午前6時過ぎに真砂沢を出発し、長治郎谷を登って、午前10時過ぎには、熊の岩にテントを張り終わった。
テントの中で、寝そべりながら目の前のY峰フェースを観察した。いるわいるわ、30名ほどがCフェースに取り付いている。みんな剣稜会ルートで、10名あまりは、まだ取り付きで順番待ちだ。他に、Aフェースの魚津高ルートに2パーティほどいる。あまりに混んでいるので、他のルートを登ろうかとも一瞬考えたが、Y峰フェースを初めて登るなら、やはりCフェースの剣稜会ルートだろうと思い直し、しばらく待って渋滞が緩和してから同ルートを登ることにした。
3〜40分待ち、取り付きで待つパーティがいなくなったことを見定めて、あらためて剣稜会ルートへ。同ルートは、Cフェースのカンテ沿いに5ピッチを登る、Y峰フェースでイチオシの変化に富んだ好ルートである。
3人で快適に登り始めたのだが、2ピッチ目で早くも渋滞の最後尾に巻き込まれてしまった。北岳バットレスの4尾根主稜とか、谷川岳一ノ倉沢南稜もそうだが、剣稜会ルートもまた、超弩級の初心者が多い。壁の真ん中でビレイ操作を教わっているような人たちと登っていたら、何時に下山できるか検討もつかない。幸いCフェースは傾斜が緩く、支点さえ都合できればどこで  も登れそうな感じである。先行パーティを右側から抜きながらぐんぐんとピッチを伸ばした。終了点につくまでに3パーティ6人を抜いた。
登攀を終了し、八ツ峰上部の縦走路を忠実に下って5,6のコルをめざした。途中、懸垂地点でもう一組の4人パーティを抜いた。
熊の岩のテント帰着5時頃。夕食をつくり食べている頃から雲行きが怪しくなってきた。NHK第一に周波数を合わせ、ニュースと天気予報を聞いて驚いた。なんと台風が来ているという。東京や神奈川、千葉など関東地方は大変な大雨で被害も出ているらしい。予想もしなかった事態だ。
午後6時ころ、今度は無線でアルム本隊と連絡がついた。3人は剣沢のテントに残留。男性3名は本峰南壁を登り、剣沢に帰るという。アルムの何名かは今日熊の岩にテントを張り、明日剣尾根をめざすと聞いていたので、なぜ本峰南壁を登っているのか、少し面食らった。
7時頃から、雨が強くなってきた。事前の予報と異なり、明日の好天はとても望めない。チンネ左稜線の登攀は不可能だ。それどころか台風の進路から予想すると、明後日の天候は、さらに悪化することが考えられる。この2日間の悪天は、われわれの山行日程では最悪のパターンだ。次第に強まる雨音を聞き、アルムの本峰南壁隊のテント帰着を心配しながら、明日中のテント撤収と下山の決意を固めた。台風の進路次第では、黒部アルペンルート経由の下山が不可能になってしまうからだ。
8/10(月) 一晩中降っていた雨は、今朝も止むことなく降り続いている。強い雨に耐えながら朝食を終え、テントを撤収した。午前6時、熊の岩を出発。雨具に身を固めて、冷え冷えとした下山になった。熊の岩に数多く張られていたテ      ントも、1〜2張りを残して、すべて撤収されている。
長治郎谷をさっさと下り、剣沢を登り返す。強い雨は雨具を苦もなく通り抜け、すでに靴下も下着もぐっしょり濡れている。雨に濡れたザックがやたらに重い。
午前9時過ぎに剣沢のテン場に着いた。アルム本隊の6名の方々が、暖かな飲み物で迎えてくれた。礼をしながら、本日下山することを告げる。強く残留を進められたが、もうなにもかもがぐしょ濡れで、とても残る気持ちになれない。
アルムのみんなに別れを告げ、重荷にあえぎながら別山乗越しを越えた。疲れた。これでもう、登りはほとんどないと思うと、さすがに嬉しい。
雷鳥沢のテン場に下って休む。近くにいた人から、台風は上陸せずに太平洋上を東北地方に向かっていると教えられた。だから、明日はたぶん天気はよいだろうという。ショックを受けたが、もう手遅れだ。この状態で再度熊の岩をめざすことはできない。だいたいこんな季節の台風が、そんなコースを辿ること自体が異常だ。今年の太平洋高気圧は本当に勢力が弱い。
そんなことをぼやきながら室堂に着き、アルペンルート経由で下山した。
   










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