78_2.剱岳合宿 2日目 平蔵谷〜本峰南壁
日程

2009年8月9日

メンバー

U, Asa, Ichiro     報告Ichiro

詳細
0930剱沢発
1020 平蔵谷出合
1400 本峰南壁A1ルート取付点
1735 本峰登頂
2030 剱沢着

合宿2日目。当初の予定は,3日目の剱尾根および4日目のチンネに備えて熊の岩に移動し八つ峰6峰Cフェースを登るというものだった。ところが予定起床時 刻の300に目を覚ますと外は雨。仕方がないので寝ていると次第に雨が止んできた。そこで,この日は長次郎雪渓を詰めて熊の岩に移動するだけの予定で剱沢を出発した。

アイゼンを履き,手にはピッケルを持ち,長次郎谷の出会いを目指して剱沢を下っていく。長次郎谷の出会いと思われたところからヘルメットも装着して雪渓を登りはじめた。時々雨に降られながら,テン泊装備と登攀具一式を持って登る。これでも昨日よりは軽い。

雪渓を半分くらい登ったところで下山者とすれ違った。彼らの口から驚愕の事実が告げられる。我々が歩いているのは長次郎谷ではなく平蔵谷だと。

さすがにここから雪渓を下りるわけにも行かないので,本峰頂上を越えて北方稜線経由で熊の岩を目指すことに計画を変更した。本峰を越える方法は2つ。平蔵のコルまで雪渓を詰めて一般ルートを行くか,あるいは本峰南壁を登攀するか。結局我々は後者を選択した。

苦労しつつ取り付き点を探し出し,登攀準備。
写真もここまでは一眼レフで撮っていたが,登攀中はブラブラさせておくわけにも行かないのでコンパクトデジカメをポケットに忍ばせる。

いよいよ登攀開始。1P目はU代表がリード。
U代表が1P目終了点に到達すると,今度は我々の番だ。セルフビレイを解除して登り出す。浮き石が多くて落石を起こしてしまい,拳大の石を下方のAさんの ヘルメットに直撃させてしまった。ごめんなさい。また,岩が脆くて手で掴んだホールドがグラグラしたり足を乗せたところに亀裂が入ったりと心が安まる暇もなかった。

2P目。落石を起こさないように細心の注意を払いながら登ったが,一見安定した足場に足を乗せたところ幅30cmほどにわたって亀裂が入った。足を離すとす ぐに崩れ落ちそうだったので急いでAさんに上がってきてもらう。足を離すとともに10kgはあろうかという岩の塊が剥がれて轟音とともに落下していった。
そしてこの壁で最も恐ろしかったのが2P目最後のトラバース。手のホールドがあまりなく,ヌンチャクでもロープでも何でも掴んでようやく終了点へとたどり着いた。

次第に雲行きが怪しくなり雨が降ってきた。濡れた岩,脆いホールド,重い荷物,もはや初心者向けのルートとは思えない。
4P目からはAsaiさんのリード。ピナクルを巻いていく。

最後はガレ場の道を源次郎尾根へ突き上げ,本峰頂上へと登る。そしてがっちりと握手。
ガスが一瞬晴れて山も祝福してくれたようだった。

ベースキャンプとの無線連絡によると次の日には台風が接近するとのこと。登頂時点で1730を過ぎていたこともあり,熊の岩への移動を中止してBCへ戻る ことに。一般ルートの下りも決して楽ではなく,前剱を過ぎてからはヘッドランプの光を頼りに歩を進める。フラフラになりながらBCへたどり着いたのが2030だった。温かい飲み物とうまい飯に迎えられて生き返った心地だった。

予定外の初アルパインクライミングで厳しい洗礼を受けた形になったが,今になって考えると重い荷物を背負って悪条件のルートを走破できたことで随分自信になった。

平蔵谷を登る

平蔵谷のIchiro


シェルンドの中で登攀準備 A1ルート1p目の取り付き

1p目のAsa
南壁に咲く花

4p目をリードするAsa。ピナクルを左へ
山頂で一瞬の晴れ間に剣沢を望む






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